りつ缶

のんべんだらり

ケータイでも読んだけど

226~227p

 別れる男に花の名前を一つ教えておきなさい。花は必ず毎年咲きます。

 文豪・川端康成はそんな言葉を遺したそうだが――ロマンチシズム? リリシズム? いやいやそんなもんじゃない、とさやかは内心で決め打ちした。
 その発想は一言で言って『女々しい』という!
 しかも女では絶対に考えつかない。そもそも別れる男の記憶にそんなふうに自分を刻もうなどと思わない。女の恋は上書き式。男の恋は保存式。女はどれだけ引きずろうと悪あがきしようと、次の恋が見つかって走り出したら、昔の恋人など思い出から記憶に格下げだ。

きみが見つける物語    十代のための新名作 恋愛編 (角川文庫)

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『植物図鑑 Paederia scandens var. mairei』有川浩